2026.03.16
おふたり様専用の宿という選択 ー時の宿すみれのコンセプトについてー
米沢の春が近づいています。
窓の向こうには、まだ雪が残っているすみれガーデン。
でも、確実にそのなかに春の兆しが感じられます。

宿をしていると、時々お尋ねいただくことがあります。
きっとあなたもそう思っているかしら?
「どうして、おふたり様専用なのですか」と。
今日も旅館に興味があるという大学生さんからお電話をいただき
そのことについてインタビューをしたいと問合せが。

そのたびに、わたしはいつも思うのです。
旅には、どなたとの旅なのか?
共に旅する方がどなたなのかで宿選びが異なることもある。
旅には、にぎやかさが似合う時間もあれば、静けさが似合う時間もあるのではと。

時の宿すみれが大切にしているのは、後者の時間です。
大切なひとと向き合い、ゆっくり言葉を交わし、同じ景色を見て、同じ湯に浸かり、同じお料理を味わう。
そんな、おふたりのための時間です。
大切な方との二人旅、すみれでのご滞在を通して
おふたりの距離を縮めたり、縁を深めたり。
そのような時間にしてほしいという願いがあります。

大人数の旅には、大人数の楽しさがあります。
笑い声が重なって、予定が賑やかに進んでいく旅もとっても素敵です。
けれど、おふたりの旅には、おふたりにしか流れない時間があります。
たとえば、普段は忙しくて言えない「ありがとう」。
たとえば、ずっと心にあったけれど、なかなか言葉にできなかったこと。
たとえば、ただ隣にいるだけで、ほっとする気持ち。
そうしたものは、少し静かな場所でこそ、そっと見えてくるのかもしれません。

すみれのお部屋には、テレビも時計もありません。
最初は少し驚かれる方もいらっしゃいます。
でも、その静けさの中で過ごしていただくうちに、おふたりの表情がふんわりとやわらいでいくのを感じます。
「自然を眺めているだけでほっとした」
「静かな環境の中でゆっくり過ごすことができました」
「次はいつ来よう」
とお客さまからのご感想をいただきます。
そんな時にいつも思います。「あーーよかったなー」と。
ほっとできたり、心ほどける時間になっていたことを知りお役に立てたことが嬉しくなります。

何か特別なことをしなくてもいいのです。
窓の外の雪を眺めながらお茶をいただくこと。
米沢牛のお料理を、ゆっくり味わうこと。
温泉でぽかぽかにあたたまりながら、今日一日のことを話すこと。
それだけで、心は不思議と満たされていくのではと思うのです。

おふたり様専用というのは、制限ではなく、願いなのです。
大切なひとと過ごす時間を、もっと大切にしていただきたい。
慌ただしい日常の中で後回しになりがちな気持ちを、ここでそっと取り戻していただきたい。
そんな思いから、この宿のカタチは生まれました。

人生の中で、おふたりで過ごせる時間には限りがあります。
だからこそ、そのひとときを丁寧に味わう旅であってほしい。
時の宿すみれは、そんなおふたりを、静かにお迎えしたいと思っています。
おふたりの時間が、やさしく、あたたかく流れていきますように。。
最後まで読んでいただいたあなたにありがとう!
@すみれのあやこ
Categories : 時の宿すみれ